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Pratibhanusarini --- 九州インド哲学ブログ2

On Indian Philosophy and Buddhist Studies

紹介:青木克仁著『イメージから考える人生論』

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イメージから考える人生論


著者は広島の安田女子大学の教授.

実に優しい語り口で,「人生の捉え方」について丁寧に教えてくださいます.

トルストイやカミュといった定番の人生論のみならず,スタートレックや韓流ドラマ,さらに松本大洋の漫画など,豊富な事例を用いて「人生の意味」について,我々の思考法を整理してくれています.

世にありがちな「人生訓」では全くありません.

タイトルのように「イメージから考える人生論」です.

背景には,認知意味論のメタファー分析があります.

一見やさしい口調ながら,その観察の粘り強さ,そして,切り口の鋭さは圧巻です.

プリーのジャガンナートに,道徳的価値(Moral Value)の話題で出くわすとは予想していませんでした.

第5章「エネルゲイア」に,インド研究者なら,『バガヴァッドギーター』も付け加えたくなるかもしれません.

以下,気がついた誤植だけ指摘しておきます.(左が原文,右が提案)

p. 132, l. 10
どの瞬間おいても >どの瞬間においても(?)

p. 226, l. 17
どんな社会は > どんな社会も(?)

p. 237, l. 24
場祖 > 馬祖


なお,著者のホームページに論考が掲載されています.

http://www2.cc22.ne.jp/~k-aoki/katsuhito.html


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  1. 2006/12/27(水) 15:41:02|
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  3. | コメント:0

記事紹介:フランス極東学院ポンディシェリ校における『ニシュヴァーサ・タットヴァ・サンヒター』研究会


シヴァ教タントリズムの専門家であるグッドオール所長の下,シャイヴァ・シッダーンタのタントラ重要文献である『ニシュヴァーサ・タットヴァ・サンヒター』のワークショップが開かれるとのこと.

場所は,ポンディシェリのエコール.

フランス極東学院ポンディシェリ校です.

グッドオール所長は,シヴァ教研究のため,2007年度中に数週間ほど,九州大学インド哲学史研究室に招聘する予定です.氏の研究書は,

『キラナ・タントラのラーマカンタ注』
『ラグヴァンシャのヴァッラバデーヴァ注』
『パラーキヤ・タントラ』
『パンチャーヴァラナスタヴァ』

が有名です.またウィーンから継続出版されている『タントラ名事典』の編集にも関与され,多くの事典項目を担当されています.一般には『ヒンドゥー聖典(アンソロジー)』の編集者として知られているかもしれません.

以下は,現地の新聞The Hinduより引用.


http://www.hindu.com/2006/12/27/stories/2006122703470200.htm

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

Workshop to discuss the earliest Agama of Saivism

Staff Reporter

The event to be held from January 2 to 13 will focus on Nisvasatattvasamhita

PUDUCHERRY : The Ecole Francaise de Extreme - Orient (EFEO), French School of Asian Studies in Puducherry, will be organising an international workshop on "Early Saivism: The testimony of the Nisvasatattvasamhita" from January 2 to 13.

According to Dominic Goodall, head of the centre in Puducherry, the workshop will mainly focus on the Nisvasatattvasamhita, one of the earliest Agamas of Saivism that has survived.

......(以下省略)
  1. 2006/12/27(水) 13:46:41|
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四国遍路日記の紹介:青野貴芳著『四国巡礼葛藤記:駆け出し僧侶が歩いた四国八十八ヵ所』


四国巡礼葛藤記―駆け出し僧侶が歩いた四国八十八カ所
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青野貴芳
『四国巡礼葛藤記:駆け出し僧侶が歩いた四国八十八ヵ所』(すずき出版)1700円.

著者の青野さんは,東大印哲で博士課程まで進まれたインド哲学の専門家です.

なかでも神への熱烈な帰依・信愛を説くバクティ思想を研究してこられました.

書斎に籠る青白きインテリかと思いきや,大学時代は柔道部に所属.

かなりの武闘派(?)です.

同時に,現役の僧侶(禅僧)でいらっしゃいます.

本書は,永平寺,そして,古刹である宝慶寺での厳しい修行(安居あんご)を終えられた青野さんが,「今しかない」と思い立たれて四国八十八ヵ所を歩かれた日記です.

もとは東京大学仏教青年会『仏教文化』に連載された寄稿文に加筆したものです.

2001年4月から5月にかけて歩かれたので,著者は当時31歳.

しかも全行程,基本的に托鉢されて歩いたとのことです.

一番札所霊山寺(りょうぜんじ)から順に時計回りで回る「順打ち」に付き合うことで,読者も一緒に遍路を体験できる仕掛けになっています.

遍路での様々な約束事や,遍路界の(表・裏)様々な情報が,読み進めるうちに自然に頭に入ってきます.

著者の観察とユーモアは,八十八ヵ所に付き合う読者を疲れさせません.

この文才は羨ましい限りです.


%%%%%%%%%%%%%%%%184-185頁より引用%%%%%%%%%%%

「あの,お車いかがですか」

車から若い男性が降りてきてそう言った.

「いやあ,申し訳ありませんが,歩きなんで・・・・・・」

「そうですか.じゃあ,ちょっと待ってください」

男性は,車の中に上半身を突っ込んで,何やら探しているようであった.

「これ,持っていってください」

男性は,菓子パンをいくつかくださった.感謝.その方は,にこにこして物腰が柔らかく,見ただけで,「いい人だなあ」と思わせるような方だった.自身を振り返ってみるに,やれ修行だ坐禅だと言っているわりに,この方のように,他人に幸福感を与えられるような人柄ができていない.宗教者は,奇跡を起こしたり霊が見えたりするような特別な能力ではなく,まずもって人格の練磨が必要であろう.大学の近くに「リヴ・イン・ラブ」というスナックがあったが,その屋号の精神が大切だ.

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%引用終わり%%%%%%%%%%%%%%%


仏教用語・禅語の解説から,八十八ヵ所で通る街や山川の描写まで,超俗と世俗を軽やかに往復します.

連載当時,仏教青年会理事だった上村勝彦先生(東京大学教授)も絶賛しておられたとのこと.

各章の末尾に付された注には,突っ込んだ情報も盛り込まれています.

遍路だけでなく仏教の基礎知識や常識を押さえておくにも便利です.





  1. 2006/12/27(水) 08:13:15|
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