Pratibhanusarini --- 九州インド哲学ブログ2

On Indian Philosophy and Buddhist Studies

間接表示の六種

間接表示lakṣaṇā
1. 純粋なśuddhā
 1.1. 受け取りによる間接表示upādānalakṣaṇā
  1.1.1. 付託を伴ったsāropā①
  1.1.2. 同一視を伴ったsādhyavasānā②
 1.2. 指し示しによる間接表示lakṣaṇalakṣaṇā
  1.2.1. 付託を伴ったsāropā③
  1.2.2. 同一視を伴ったsādhyavasānā④
2. 類似性に基づくものgauṇī
 2.1. 付託を伴ったsāropā⑤
 2.2. 同一視を伴ったsādhyavasānā⑥

①kuntāḥ puruṣāḥ praviśanti槍人が入る
②kuntāḥ praviśanti槍が入る
③āyur ghṛtamギーは命
④āyur evedamこれは命. gaṅgāyāṃ ghoṣaḥガンジスに牛飼小屋
⑤gaur bāhīkaḥバーヒーカ人は牛
⑥gaur ayamこやつは牛


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  1. 2012/12/30(日) 00:32:09|
  2. 未分類

槍が入ってくる!

自の成立の為に他を含意する.他の為に自を差し出す.[それぞれ]受け取り[に基づく間接表示]と,指し示し[に基づく間接表示]と呼ばれる.以上二種[の間接表示]は,ただ純粋な[間接表示]である.
svasiddhaye parākṣepaḥ parārthaṃ svasamarpaṇam/
upādānaṃ lakṣaṇaṃ cety uktā śuddhaiva sā dvidhā// 10



「槍が侵入してくる」は,もちろん,第一義ではありえません.

槍は無情なので,槍そのものが侵入してくるという行為を持つことはできないからです.

そこで,槍の侵入行為が成立するために,槍と関係する槍持ちの人が含意されることになります.

すなわち,「槍を持った人が」という意味となります.

ここでは,槍という第一義を捨てずに,それを受け取り用いながら,槍持ちの人が間接表示されます.

「槍が」→槍が→槍を持った人が



いわゆる,「捨てない間接表示」ajahallakṣaṇāというものです.

いっぽう「捨てる間接表示」jahallakṣaṇāもあります.

先ほどの「ガンジスに牛飼小屋」の例では,ガンジス川の流れという第一義は捨て去られています.

「ガンジスに」→流れに→岸に



こちらは「指し示しによる間接表示」と呼ばれます.

第一義である流れは,岸を指し示すための道具に過ぎず,いわば,飛び石のように捨て去られます.

しかし,その余韻として,第一義であるガンジス河の清らかさなどが暗示されるという点は忘れてはなりません.

第一義(流れ)と第二義(岸)の区別や距離というのが意識されていないからこそ,間接表示を用いるのです.

すなわち,指し示すものと指し示されるものとの区別はないのです.

それによって,「ガンジス河の岸に牛飼小屋」といった何のひねりもない表現では醸し出されない効果(清らかさなどの暗示対象の理解)が生じてきます.
  1. 2012/12/29(土) 12:07:02|
  2. 未分類

間接表示

第一義が押し退けられると,それ(第一義)との関係がある場合に,慣用に基づいて,あるいは,目的に基づいて,他の意味が間接表示される.それが間接表示作用である.[それは,語に]付託された作用である.
mukhyārthabādhe tadyoge rūḍhito 'tha prayojāt/
anyo 'rtho lakṣyate yat sā lakṣaṇāropitā kriyā//



「[或る]技にクシャ・ラ(クシャ草を刈る)の人」と言った時,クシャラの第一義は「クシャ草を刈る」というものですが,それでは意味を成しません.

したがって,第一義が押し退けられます.

そこで,「クシャ草を刈る」という第一義の近くにある関係した意味で,慣用に基づいてよく知られている「巧みな」という第二義が採用されることになります.

すなわち「[絵を描くなどの]行為に巧みな」という意味となります.


「クシャ草を刈る」→ クシャ草を刈る →(慣用)→ 巧みな



また,「ガンジスに牛飼小屋」と言った時,ガンジスの流れの上に牛飼小屋はありえません.

そこで,ガンジス河の流れという第一義が押し退けられます.

次に近くにある関係した意味として「ガンジス河の岸」という第二義が採用されます.

「ガンジスに」→ ガンジス河の流れに →(目的)→ ガンジス河の岸に



しかし,これだけでは,なぜ,間接表示を用いたのかの理由が説明できません.

ここで間接表示を用いるには,それ相応の目的・動機があります.

では,その動機・目的は何でしょうか.

「ガンジスの岸に牛飼小屋」と言うように,ストレートに述べる場合と,「ガンジスに牛飼小屋」と述べる時とでは,何が違うのでしょうか.

間接表示を用いる時,ガンジスと小屋が近くに表現されますから,ガンジス川の持っている清らかさや涼しさといった性格までもが,牛飼小屋にまで投影されることになります.

すなわち,清浄性等という性格を理解させることが目的・動機となって,間接表示が起こっているわけです.

「クシャラ」が慣用に基づいてであるのに対して,「ガンジスに」の場合は,目的に基づいて間接表示が起こります.

語→ 第一義 →(慣用or目的)→ 間接表示対象



  1. 2012/12/29(土) 11:37:33|
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マンマタ流

それが一次的な(主となる)意味.これ(語)の持つそれ(第一義)に対する一次的な作用が直接表示作用と呼ばれる.
sa mukhyo 'rthas tatra mukhyo vyāpāro 'syābhidhocyate//KP 8cd

「それ」というのは,直接的に関係づけられたもの.「これの」は「語の」.
sa iti sākṣāt saṅketitaḥ. asyeti śabdasya.



単に次のような分かり切ったことを述べているだけで,まったく,親切に過ぎるというか,過保護な教科書的定義で,何のひねりもありません.

直接表示者---直接表示作用--->直接表示対象(第一義)



さらに,自註も,ギャグに映るほどに,どうでもいいといえば,どうでもいい註釈です.

自分で気取って補足註釈するくらいなら,最初から,明瞭に書けばいいと思いますが.

どうせやるならば,ついでに,tatraまで補足説明してくれたら,学生も喜ぶでしょう.

詩論書の割に,どうも,マンマタの定義ヴァースはいまいちセンスがないと感じられるのは私だけでしょうか.
  1. 2012/12/29(土) 11:10:30|
  2. 未分類

意味

関係づけられる[意味]はジャーティに始まる四種である.あるいは,ジャーティのみである.
saṅketitaś caturbhedo jātyādir jātir eva vā/ KP 8ab



実際の用を為すものは個物であるvyaktiです.

つまり,欲しいと思う発動の対象になったり,避けたいという退却(回避)の対象となったりするのは,抽象的な存在ではなくして,現実に形をとった個物です.

目の前の牛が欲しいのであって,牛性が欲しいわけではありません.

しかし,個物と語を関係づけるのは不可能です.

第一に,個物は無数にあるので,いちいち関係づけを学ぶことは不可能です.

また第二に,「牛」と牛1との関係を学んだとしても,その語「牛」は,牛2に対しては逸脱してしまいます.

つまり,「牛」は牛1は指すけれども,牛2は指せません.

関係が未だ学ばれていないからです.

そこで,個物が持っている外的な要素であるupādhiが,語の関係づけ先となります.

マンマタは以下のような四種を考えます.

やや格好をつけた分類ですが,要するに,名詞・形容詞・動詞・固有名に対応するジャーティ・性質・運動・名称です.

1. 実在の属性vastudharma
 1.1. 既成siddha
   1.1.1. ものに命を与えるpadārthasya prāṇapradaḥ: ジャーティjāti
   1.1.2. 特殊付与因viśeṣādhānahetu: 性質guṇa
 1.2. 未成sādhya: 運動kriyā
2. 話者の恣意によって入り込まされたvaktṛyadṛcchāsanniveśita: 名称saṃjñā

牛性というジャーティ(全体としての種的属性)は,牛というものに息吹・命を与える本質的なものです.

白いという性質は,特殊性格を付与する原因です.

以上の二種は,既成物です.

これにたいして,運動というのは,これから実現されるべきものと捉えられます.

例えば,動いているという運動は,既にそこに出来上がったものとしてあるのではなく,実現されるべきもの・未成のものとして表現されています.

最後に「ディッタ」という人名のような固有名があります.

これは,対象の上に,話者の恣意によって,名称を外的要素として入り込ませたものです.

以上,四つに分類するのが普通でしょうが,白性や進行性やディッタ性というものを考えることも可能です.

とすると,語の意味は全てジャーティだとも言えます.

雪の白さ,ミルクの白さ,ホラ貝の白さ,といった様々な拠り所にある白さに共通する白性を考えるわけです.
  1. 2012/12/29(土) 08:28:58|
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直接表示者

直接に取り決められた意味を述べるもの,それが直接表示者
sākṣāt saṅketitaṃ yo 'rtham abhidhatte sa vācakaḥ//KP 7cd

この世で,その関係(取り決め)が未把握の語の意味は理解されないので,取り決めを必ず補助者として語は特定の意味を理解させる.したがって,語Xの意味Yに対する関係(取り決め)が直接的に(間接的でなく)把握される場合,そのようなXがYの直接表示者である.
ihāgṛhītasaṅketasya śabdasyārthapratīter abhāvātt saṅketasahāya eva śabdo 'rthaviśeṣaṃ pratipādayatīti yasya yatrāvyavadhānena saṅketo gṛhyate sa tasya vācakaḥ



語である「牛」と,意味である牛性との関係(取り決め)をまず学ぶ.

それは,直接的に結びついたものとして学ぶのであって,何かを介在させて把握するわけではない.

これにより,語からダイレクトに意味が理解されるようになる.

語彙関係把握:  直接表示者 --- 取り決め ---> 意味

意味理解:     直接表示者--->意味
  1. 2012/12/29(土) 08:10:20|
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暗示機能

語には三つの機能がある.

直接表示作用abhidhā,間接表示作用lakṣaṇā,暗示作用vyañjanāである.

1.直接表示者である語は,直接表示対象を直接表示する.

2.間接表示者である語は,間接表示対象を間接表示する.

3.暗示者である語は,暗示対象を暗示する.

   語            作用             意味
1. 直接表示者vācaka → 直接表示abhidhā → 直接表示対象vācya

2. 間接表示者lākṣaṇika → 間接表示lakṣaṇā → 間接表示対象lakṣya

3. 暗示者vyañjaka → 暗示vyañjanā → 暗示対象vyaṅgya

語だけでなく,意味も暗示者となりうる.

4. 直接表示対象vācya→暗示vyañjanā→暗示対象vyaṅgya

5. 間接表示対象lakṣya→暗示vyañjanā→暗示対象vyaṅgya

6. 暗示対象vyaṅgya→暗示vyañjanā→暗示対象vyaṅgya

4.

「ママ,『家の食べ物が今日は無い』って,言ってるけど,なら,どうしたらいいか言ってよ.このまま日が続くわけもないから」(māe gharovaaraṇaṃ ajja hu ṇatthitti sāhiaṃ tumae/ tā bhaṇa kiṃ karaṇijjaṃ emea ṇa bāsaro ṭhāi//)



外に買い出しに行く必要があると直接には言っているのであるが,ここでは,この自由奔放娘が逢引に出かけたいことが暗示されている.

これは直接表示対象が暗示者となる例である.

5.

イケメンの許にわざわざ行ってくれて,毎回,私の為に,苦労してくれたわ.友情と愛情の為せるわざに相応しいこと,それだけのことを,あなたは,やってくれたわ.
(sāhentī sahi suhaaṃ khaṇe khaṇe dummiāsi majjhakae/ sambhāvaṇehakaraṇijjasarisaaṃ dāva viraiaṃ tumae//)



ここでは,親友関係が直接表示されている.

そこから逆に,取り持ちメッセンジャーでお使いにいった先で私の彼氏とよろしくやって,むしろ私の敵となった,ということが間接表示されている.

「友情に相応しいこと」どころか,「友情に似つかわしくない」ことをやってくれた,「私の為」どころか「自分の為」,「苦労する」どころか「楽しくやった」ということである.

さらに,そこから,彼氏が浮気の罪を犯したことが暗示されている.

6.

見て,不動・不揺の鶴が,蓮の葉の上で,輝いている.無垢なエメラルドの容れ物にあるほら貝[のように白い]真珠みたい.(ua ṇiccalaṇippaṃdā bhisiṇīpattammi rahei balāā/ ṇimmalamaragaabhāaṇapariṭṭhiā saṅkhasutti vva//)



鶴がじっと動かないことから,鶴が安心していることが間接表示される.

そこから人のいないことが暗示される.

さらにそこから,ここが逢引の場所よ,と女が男に言っていることが分かる.

あるいは,「この嘘吐き,ここにあなたは来てなかったわね」ということが暗示される.
  1. 2012/12/28(金) 07:51:08|
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received: 胎児がしゃべる

堂山英次郎

胎児がしゃべる
――古代インドの英雄神話における異常出生に関する資料――

2011年度大阪大学大学院文学研究科共同研究成果報告書
神話表象のアレゴリズム研究――文学・哲学・レトリックに即して――
研究代表者:加藤浩,大阪大学大学院文学研究科,2012年3月
25-58頁
  1. 2012/12/25(火) 20:17:15|
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received: recent articles by Prof. Masato Fujii

The Gayatra-Saman: Chanting Innovations in the Samavedic Brahmanas and Upanisad.
Zinbun 42, 2009, 1-37.

ヴェーダの復興――南インド・ケーララ州における古代と現代の接触――
『コンタクト・ゾーンの人文学 第III巻』,田中雅一,小池郁子(編),晃洋書房,2012, 270-302.

The Jaiminiya Samaveda Traditions and Manuscripts in South India
Aspects of Manuscript Culture in South India, edited by Saraju Rath, Brill, 2012, 99-118.

The Recovery of the Body after Death: A Prehistory of the Devayana and Pitryana.
Studia Orientalia 110, 2011, 103-120.
  1. 2012/12/25(火) 20:14:28|
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received: 処女戦士が最高神となるとき

横地優子

処女戦士が最高神となるとき

『アジア女神大全』青土社,2011年,345-363.
  1. 2012/12/25(火) 20:08:04|
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Consecration, Initiation, and Coronation Rituals in Ancient and Medieval India

古代および中世インドにおける潔斎・入門/入信・即位の諸儀礼


DiksaSympoKyoto

インド思想史学会に引き続いて,翌日の日曜日は,人文研にてシンポ.

朝から晩まで.

いずれも,「ディークシャー」と「潅頂」に焦点を絞った発表です.

午前は,永ノ尾先生をはじめとして,ヴェーダ関係.

ランチは,皆でカンフォーラへ.

わたしも,アレクシス・サンダーソン教授の向かいで一緒にランチ.

相変わらずお元気そうでなによりです.

「最近は鏡見たら,『この老人誰や」と思うで,わっはっは」

「この前,日本人の年上の人に『アレちゃん』と呼ばれたわ,わっはっは」

などと,小ネタもはさみながら,楽しいランチでした.

昼食後は,メインであるサンダーソン教授(客員教授)の基調講演.

その後,午後のセッションは,ディワーカル・アーチャーリヤ准教授をはじめとするタントラ関係.


ヴェーダにおけるディークシャーは,精進潔斎の準備儀礼です.

つまり,ディークシャー儀礼によって「潔斎者」(ディークシタ)となることで,祭式の間,祭式を挙行するに相応しい者となります.

それが,シヴァ教では,入信儀礼として,一生涯,ディークシタとなります.

つまり,短期間「ディークシタ」となるのではなく,生涯「ディークシタ」となります.

単なる潔斎のための準備儀礼ではなく,シヴァ教に入信し,解脱を得るための儀礼です.

この入信儀礼の後,ディークシタは,一生涯,様々な誓戒を守ることになり,毎日忙しく勤行をおこなうことになります.

しかし,王の場合,入信しても,忙しいので,毎日,色々な誓戒を守る暇はありません.

そこで,王様等のためには,特別に,「無種子ディークシャー」が用意されることになります.

「ディークシャーだけで解脱する」として挙げられる「子供,愚か者,老人,女,享受者,病人」とあるうちの「享受者」が王に当たります.

sabījā dīkṣā:ディークシャー儀礼を受けた後もサマヤ行を遵守する
nirbījā dīkṣā:ディークシャーだけで十分

さらには,ディークシャー儀礼は,解脱のような遠い目標だけでなく,王侯の期待にこたえるような現世利益にも,その効用を広げていきます.

潅頂儀礼であるアビシェーカも,阿闍梨になるための潅頂儀礼という元々の文脈だけでなく,王の戦勝祈願などという極めて現世的な利益のためにも用いられたりします.

阿闍梨がグルであり,王が全種姓全住期のグルであるというパラレル構造を理解すれば,このような拡張も納得できます.

いつもながらの圧倒的な一次情報の数々.

大きな地声で明瞭に話されるので,マイクを通さずとも,よく英語も理解できました.

ConsecrationSympoKyoto2


ソームデーヴは,変わったテクストを材料に話しました.

ハンサ・ミットゥの『ハンサ・ヴィラーサ』(印度雁の遊戯)というテクストです.

なかなかいかがわしい内容で,18cのグジャラートの現実の宗教状況を知るには格好の資料です.

裁判沙汰にまでなったヴァッラバーチャーリヤ派などと比較して見るのも面白いでしょう.


シンポ関連の発表は,いずれ論文集としてまとめて出るそうです.(まだまだ時間はかかるでしょうけど.)

TadkaKarasumaOike
  1. 2012/12/25(火) 08:19:02|
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インド思想史学会第十九回学術大会(2012・12・22)

IndoShisoshiGakkai 004

サンスクリット学者の年末恒例行事である京都のインド思想史学会.

毎年クリスマス前後の土曜日に行われます.

が,来年は,はじめて,東京開催となるそうです.

2013年12月21日(土曜日) 東京大学 

今年も,例年と同じく,インド学の多彩な分野から,多くの若手が発表していました.

トップバッターのビル・マックさんは,結構なインパクトのある発表.

ピングレーの『ヤヴァナジャータカ』の間違いを指摘するもの.

丁寧に検討し直すと,インド天文学の碩学ピングレーの解釈には様々な不備が.

「滴」(bindu)という語がゼロを表すという最古の用例として扱われてきたものが,実は,テクストには支持されないということ,また,数を様々なものを使って表すというbhūtasaṃkhyāというシステムが,『ヤヴァナ・ジャータカ』には未だ見られないということ.

驚きです.

大学者ピングレーの言っていることだから大丈夫だろう,と思っていたら大間違い,ということでした.

ともあれ,一次資料を,新たに入手できた写本資料を使って再検討することの重要性を再確認させられた発表でした.

司会の矢野先生(ピングレーの弟子)も,「先生の間違い,認めたくないけど,しゃーないなー」という感じのようでした.

というわけで,数字の記号としてのゼロのもっとも古い証拠は,これ以外に探さねばならない,ということになりました.

次が川尻さんのシャイヴァの発表.

前に座った梶原さんから「片岡さんが司会らしいですよ」と,その場で聞かされて,確かに,誰も司会席にいなくなったので,司会席へと.

ここらへんは,ほのぼの運営です.

現在,写本のマージンから,散逸したIPTの本文回収という画期的な作業を進めている川尻さん.

今回は,ソーマ・アーナンダからウトパラ・デーヴァ,そして,アビナヴァグプタへのシヴァ教一元論の流れについて,対論者への態度の違いという点からの報告でした.

やはり,まだまだ会場の人にはなじみがない分野なので,質問も最初は出ず,呼び水的に司会者である私が,あれこれと質問.

IPK,IPKV,IPT,IPV,IPVVと,似たようなタイトルの著作があるので,慣れない人には,どの著作のことなのかピンと来ないので,質問しにくかったのかもしれません.

Somānanda: Śivadṛṣṭi
Utpaladeva: Śivadṛṣṭi-vivṛti

Utpaladeva: Īśvarapratyabhijñā-kārikā + Īśvarapratyabhijñā-kārikā-vṛtti
Abhinavagupta: Īśvarapratyabhijñā-vimarśinī

Utpaladeva: Īśvarapratyabhijñā-ṭīkā (=Īśvarapratyabhijñā-vivṛti)
Abhinavagupta: Īśvarapratyabhijñā-vivṛti-vimarśinī

シヴァ教一元論の神学関係は,トレッラ教授の他,日本では川尻さん,それに,海外ではイザベル・ラティエ,ジョン・ネメジなど,若手が入ってきているので,まだまだ,これから盛り上がるでしょう.

CafeBiblioticHello1



次の発表は志田さん.

メインテクストは,クマーリラのSVおよび,スチャリタのSVKです.

「追い風」「順風」に相当するanuvataの問題を取り上げます.

問題は,SV「音常住論」章の118aの

nānuvātādibhis(追い風等によって……ない)

を,

nanu vātādibhis(【問】風等によって……ではないのか)

へと訂正できないか,というものです.

つまり,文字的には,āからaへの小さな訂正です.

この小さなエメンデーションのために,様々な状況証拠を挙げて,検討してきます.

もっとも大きな障害は,三人の註釈家がいずれも前者で読んでいることです.

三人の註釈家に抗して,志田さんは,独自の読みを,クマーリラのものとして読むことになります.

つまり,ジャヤミシュラの時点で既に読みが壊れていたことになります.

しかし,志田さんの主張を支持する状況証拠も,また,かなりあります.

まずは,SV内の論理展開.

さらには,anuvātaの実質的な内容.(どちらからどちらに吹くのが「順風」なのか.)

また,「など」が何をさすのか.

また,「追い風による促し」の「促し」の実質的な意味.(動き出させるの駆動なのか,既に動いている物を加速させるのか.)

また,クマーリラの他のanuvātaの用例では,「追い風」という実名詞では使われていません.

「風に沿って」というように,副詞的な用例が見られるだけです.

さらに,志田さんは,文法学や,古い用例に遡って,anuvātaの用例を回収して行きます.

āをaに訂正するというミクロな問題のために,ここまでマクロに話を広げるのも,面白い作業です.

ブレイクの後,後半は,ヴェーダ関係の尾園さん,天野さん,西村さん.

今年は,五人ではなく六人と発表者が多かったので,疲れました.

その後,楽友会館の一階に場所を移して懇親会.

乾杯は名誉会長の服部先生.

IndoShisoshiGakkai 007

今年は,明日にシンポジウムが控えていることもあり,みなさん,そそくさと退席.

岡崎さんも一次会でおとなしく帰っていき,きわめて平穏な会でした.
  1. 2012/12/25(火) 08:18:20|
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Danger: Racoon in Ito Campus, Kyushu University

AraigumaInIto1
AraigumaInIto2


大学のホームページより引用

伊都キャンパスの保全緑地内でアライグマが確認されています。

アライグマは、ペット等として飼われていたものが逃亡し、野生化しいるといわれ、我が国において急速に分布を広げており、特定外来生物に指定されています。

タヌキに似た可愛い顔をしていますが、凶暴な性格暴で、国内では「散歩中の飼い犬が襲われて噛まれた」、「犬をかばおうとして飼い主が噛まれケガをした」といった事故も発生していますので、アライグマを発見しても近づかないでください。

また、人畜共通感染症を持っているので、噛まれた場合は病院で治療を受けてください。

アライグマはタヌキに似ていますが、尾に明瞭なしま模様があるのが特徴です。

詳細については、環境省のHPを参照ください。

環境省HPの特定外来生物同定マニュアル
http://www.env.go.jp/nature/intro/4document/manual/honyu.pdf



For varieties of animals in Ito Campus, see:

http://suisin.jimu.kyushu-u.ac.jp/showcase/environment/zukan.pdf
  1. 2012/12/19(水) 07:44:07|
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Em. Prof. Ikeda (Germanistik)

HakataHyakunengura
  1. 2012/12/14(金) 08:10:16|
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himavadādy-ārāma-vismaraṇam

As Sabara points out, people do not recollect the abandoned garden in deep Himalaya.

One can, however, easily find an abandoned, forgetten garden by one's side, e.g. in Hakozaki Campus, Kyushu University.

JapanesGardenKyushuUni


【問】語と意味の関係づけをした人は,大昔にいたので,現代の人には,見えないだけではないのか.

【答】大昔にいたからといって,思い出せないということはない.

ヒマラヤ山中等の井戸や庭園なら思い出さないということもありうるだろう.

国が滅んだとか,一族が滅んだとかの理由で,人との繋がりがなくなったということは,それらの場合にはありうるからである.

しかし,語・意味の使用に関して人がそこから離れるということはない.

nanu ciravṛttatvāt pratyakṣasya aviṣayo bhaved idānīntanānām.
na hi ciravṛttaḥ san na smaryeta.
na ca himavadādiṣu kūpārāmādivad asmaraṇaṃ bhavitum arhati.
puruṣaviyogo hi teṣu bhavati deśotsādena kulotsādena vā.
na tu śabdārthavyavahāraviyogaḥ puruṣāṇām asti.



HakozakiCampus

Within a decade, after our move to the new campus (west part of Fukuoka), this campus will be completely forgotten.
  1. 2012/12/14(金) 08:08:39|
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At Nabisan with Charlie

NabisanHalal 005

久々の卒業生の来校.

「駅からの途中にナビさんって店ありましたけど,あれって,あの(ワゴンのカレー屋の)ナビさんですか?」

「そうだよ」

「え,いきましょうよ」

「酒のめないけど,いいならいいよ」

という流れで,ナビさんにて,飲み会あらためカレー会.

1月の印哲新年会(@マイティガル)も来てくれるそうです.

研究室の(なんとなく雑然とした)状態は,5年前と何も変わっていませんが,それに似つかわしくないマックの鎮座には驚いた様子でした.
  1. 2012/12/10(月) 22:48:26|
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インド思想史学会第19回学術大会

13:00-13:45
Bill M. Mak(京都大学文学研究科・博士課程)
The Greek transmission of astral science into India reconsidered |
Critical remarks on the contents and the newly discovered manuscript
of the Yavanajataka."

13:45-14:30
川尻 洋平(京都大学文学研究科・日本学術振興会特別研究員PD)
「ウトパラデーヴァとアビナヴァグプタ」

14:30-15:15
志田 泰盛(京都大学白眉センター・助教)
「聴音に対する風の影響と"anuvata-" の用例について」

|| 休憩||
GaramTakasago 006



15:30-16:15
尾園 絢一(東北大学文学研究科・助教)
「パーニニが記述するDesiderativ の語幹形成について」

16:15-17:00
天野 恭子(大阪大学文学研究科・元助手)
「Maitrayani Samhita における言語層の解明を目指して」

17:00-17:45
西村 直子(東北大学文学研究科・専門研究員)
「Yajurveda各学派のSamhitaにおける「搾乳とdadhi製造」mantra集成
の比較」

  1. 2012/12/07(金) 18:49:56|
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Consecration, Initiation, and Coronation Rituals in Ancient and Medieval India

The International Symposium / 京都国際シンポジウム 2012
Consecration, Initiation, and Coronation Rituals
in Ancient and Medieval India
古代および中世インドにおける潔斎・入門/入信・即位の諸儀礼
23 December, 2012, Kyoto University / 2012年12月23日(日) 京都大学・人文科学研究所
Venue: Institute for Research in Humanities 4th Floor, Conference Room / 4階大会議室

09:30 – 09:45 Masato Fujii (Kyoto University)

09:45 – 10:15 Shingo Einoo (University of Tokyo)
“Karṇavedha or the piercing the lobes of the ears and its application to the rite of the planting of trees”
10:15 – 10:45 Yasuke Ikari (Kyoto University)
10:45 – 11:15 Chisei Oshima (Kyoto University / Osaka University)
“Dīkṣā in the Agniṣṭoma: Its Materials and Systems”
Break
11:30 – 12:00 Masato Fujii (Kyoto University)
“Soma and Surā: Opposing Frames of the Vedic Coronation Rituals”
12:00 – 12:30 Hideki Teshima (Kyoto Bunkyo University)
“Promotion System of Sacrificer's Status in the Vedic Kingship Rituals: Comparison of the Rājasūya and the Aśvamedha”
12:30 – 13:00 Mieko Kajihara (University of Tokyo)
“The Initiation Ritual (upanayana) in the Vedic Texts and Beyond”
Lunch Break

GaramTakasago 001



14:30 – 15:30 Alexis Sanderson (University of Oxford)
“Royal Initiation and Consecration in the Śaiva Mantramārga and Some Esoteric Buddhist Parallels”
Break

15:45 – 16:15 Yuko Yokochi (Kyoto University)
“Consecration ceremony in the Epic and Purāṇic narratives”
16:15 – 16:45 Diwakar Acharya (Kyoto University)
16:45 – 17:15 Som Dev Vasudeva (Kyoto University)
“The initiations of the Haṃsavilāsa”

17:15 – 17:45
  1. 2012/12/07(金) 18:48:02|
  2. 未分類

Received: Series Mahayana Buddhism 6: Sunyata and Madhyamaka

I thank Saito sensei for sending me a copy of the book.

シリーズ大乗仏教 6
空と中観
斎藤明編
春秋社 2012

KawauchiFukuoka



中観思想の成立と展開 (斎藤 明)

ナーガールジュナ作『十二門論』とその周辺 (五島 清隆)

チャンドラキールティの中観思想 (岸根 敏幸)

カマラシーラの中観思想 (計良 龍成)

ジュニャーナガルバの中観思想 (赤羽 律)

アティシャの中観思想 (宮崎 泉)

チベットの中観思想 (吉水 千鶴子)

中観思想の中国的展開 (奥野 光賢)
  1. 2012/12/05(水) 02:12:52|
  2. 未分類

śūnyasaṃgītisabhā

Karaoka50394853452

受付女性とミッチーが何故にアイコンタクト

と思いきやサークルの先輩後輩でした

さすが楽市楽座のシダックス

大学から最短距離です

で,久々に印哲カラオケ

ジュンジュンは生憎の風邪

ですが,歌う時だけマスクを外して参戦

マイクを握るのはヤナギ

アニ声設定で「はじめてのチュウ」

新人のトミー曰く「引き笑いしないでください」

学生諸氏は2hで各580円でした
  1. 2012/12/05(水) 01:57:44|
  2. 未分類

in front of Kyushu Uni

Fukuoka 087

66th Fukuoka Kokusai Marathon (The Fukuoka International Open Marathon Championship)
  1. 2012/12/02(日) 21:38:24|
  2. 未分類

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