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Pratibhanusarini --- 九州インド哲学ブログ2

On Indian Philosophy and Buddhist Studies

ジャヤンタの弁才天



ジャヤンタのNM第7日課のアートマン章.

12プラメーヤからアートマンへと入る冒頭からジャヤンタの弁舌が冴えまくっています.

弁才天サラスヴァティーが流れ出るとはこのことでしょうか.

さらっとシュローカ,そして,「輪廻の苦からの解脱に役立つ」というような内容を長い長いコンパウンドで詩的に表現.

atigahana-sa.msaara-maarava-sthala-prabhava-bhiima-santaapa-nirvaapa.na-mahaahradataam

とても深い・輪廻・砂漠・地・生じる・恐ろしい・熱・冷ます・大池性

ずらずらと並べているだけですが,日本でも十分に意味が再構成できるほど,隠れた格関係は明瞭です.

最初と最後にhの喉音,途中からは口唇音が連続して,リズムを与えています.

そして,この後,実際の議論に入る前には,ちょこっと皮肉めいた表現で読者をくすっと笑わせます.

知的レベルと技術が違います.

何かの為に役立つ読書も結構ですが,ジャヤンタのNMの場合,読むことそれ自体が悦びです.

いわば音楽を聴くのと同じ愉悦です.

古典を読むという行為は,必ずしも何かの為だけにあるわけではない,ということは銘記しておくべきでしょう.

暇つぶしの穀潰しと言われれば,そうかもしれませんが,だとすると,そのような実利根性は,たいそう無粋なことです.

さいわい,この箇所のエディションは,アレックスが準備中.

ストレスフリーで読めます.

ストレスフリー,苦からの解放,すなわちプチ解脱です.

誤植と誤解に満ち満ちた,なべてのエディションで読むストレスほどいらいらすることはありません.

隣の部屋から,つまずきつまずきの練習ピアノが聞こえてきたらいらいらするのと同じです.

しかも,馬鹿の丸写しで,間違ったものをそのまま引いて,しかも,学界で確立したコンベンショナルな単語の区切り方もしらずに,サンスクリット文を適当に(新たな誤植も混ぜながら)ローマナイズして載せている「研究者」の御論文や御著書を読むとウルティーしかしません.

最近の日本の若手の論文は,サンスクリットのレベルもあがってきたせいか,そういうストレスが減ってきた気がします.

間違いは正す,それが研究者の矜持でしょう.

そして,ひとの間違いを正す能力を身に付けるには,(天才ならぬ多くの凡人にとっては)やはり,蛇の道でのそれ相応の訓練というものが必要となります.
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  1. 2019/08/31(土) 09:37:37|
  2. 未分類

tsumikasane



毎日ちょこちょこ積み重ねる,というのは大事です.

東文研で助手をしていたときのこと.

わたしの部屋はエレベータを下りて右の奥.

いっぽう,上村先生は左の端.

上村先生,毎日ちゃんと定時に研究所に来られて,朝から欠かさず作業をされていました.

和訳作業.

それで,あんなに沢山の優れた和訳がちゃんとでているわけです.

でないと,無理です.

たぶん,一日の分量はちょっとずつでしょう.

大きな作品を和訳するとなると,一日にできる分量というのは最初から分かっています.

割り算すれば,どれくらいの日数あるいは年数かかるかも,わかるというものです.

毎日やっても数年かかるとなれば,気の遠くなるような話ですが,それを実践されていたのが上村先生.

ちょっとずつでも毎日すすめる.

なかなか実践できるものではありません.

大きな仕事という目に見える結果の違いは,毎日のそんなちょっとした違いを反映しています.

がむしゃらに働くという感じでもなく,ひょうひょうと作業を進めておられる感じでしたし,夜遅くまで残られるということもなかったですし,時間的にも常々ゆったりと過ごされていた感じがありましたが,膨大な量の仕事は,毎日のたゆまぬ積み重ねということなのでしょう.

言うは易し,行うは難し.

猿真似だけでもしたいものです.

研究者にもいろいろなタイプがありますが,一般読者に広く役立つような和訳を流麗な現代語で(サンスクリット原典からの直の訳で)提供できる人というのは,我々の分野ではごくごく限られています.

あるいは,ありていに言ってしまえば,才能の違いということなのかもしれません.

一隅を照らすどころか,先生の著作群は,かなりの領域を照らされた、そして、今後も照らし続ける、といって過言ではないでしょう.
  1. 2019/08/31(土) 07:15:37|
  2. 未分類

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