Pratibhanusarini --- 九州インド哲学ブログ2

On Indian Philosophy and Buddhist Studies

Kumarila's Slokavarttika, codana

「ヴェーダ教令章」が扱うのは,宗教権威の問題であり,聖典の正しさ,宗教の正しさという,宗派・宗学の根本に関わる問題である.

特に仏教との対立が顕著である.

作者なきヴェーダがいかに正しいのか,そして,全知者とされる仏陀の説く仏説(経)がいかにして間違っているのか.

それを立証するバラモン教学の試みが本章に結実している.

その際にクマーリラは真偽とは何か,全知はありえるのか,善悪とは何か,という一般的な視角から論じ直している.

その一般性により彼の議論は,バラモン教のドグマティックな教学に終わることなく,普遍的な哲学・神学議論へと昇華している.

クマーリラの議論は,真理論,全知者論,殺生論というインド哲学固有の論題を彼以降の論者に設定することになる.

議論場の整備・提供である.

こうして彼の議論は,彼に続く後代の学派内外の論者が避けて通れないものとして受け継がれていくことになる.

クマーリラの影響の大きさは例えば,100年後に著された哲学綱要書『真理綱要』にも明らかである.

仏教徒シャーンタラクシタ(後725--788)は,インド哲学全体を論題に沿って俯瞰しながら,サーンキヤ学派,ニヤーヤ学派,ヴァイシェーシカ学派などの所説を引用し,それを論破する.

その中でも断トツに引用されるのがミーマーンサー学派のクマーリラである.

特に最後の大きな二章「真理論」「全知者論」は,主にクマーリラ批判に割かれている.

クマーリラが当時の仏教徒にとって最大の論敵として意識されていたことが分かる.

のみならず,そのような精緻な議論の枠組み自体をクマーリラが設定したと我々は看做しうる.

紀元後八世紀の『真理綱要』を見る限り,当時の「最大のインド哲学者」がクマーリラであったと言って間違いではない.
スポンサーサイト
  1. 2011/07/24(日) 11:59:32|
  2. 未分類

プロフィール

Aghora

Author:Aghora

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する