Pratibhanusarini --- 九州インド哲学ブログ2

On Indian Philosophy and Buddhist Studies

ミーマーンサーにおける「断片」研究

Matsumoto2 027


古典インドの聖典解釈学であるミーマーンサー.

その伝統の中でも多くの著作が失われてきました.

その中でも三つと言われれば,次の資料を挙げるでしょう.

1.
まず,ディグナーガの『集量論』(チベット訳が二本)に言及されるミーマーンサーの古説.(ただし,『集量論』自体が,チベット訳二本と,ジネーンドラブッディの『集量論註』から再構成されるものです.)

フラウワルナーの研究があり,シュタインケルナーも,他と合わせて,それらの断片を回収中です.


2.
次に,『シャバラ註』に引用される「註作者」の註.

『ジャイミニ経』にたいする註釈として,現在,『シャバラ註』が残っていますが,その『シャバラ註』の中に,彼に先行する「註作者」の説が,長く引用されています.

面白いことに,スートラ1.1.3-5に対して,シャバラ自身の註釈と,註作者の註釈とが,『シャバラ註』の中に同時に存在するわけです.

シャバラ自身が「いっぽう註作者は別の仕方で説明している」と導入・紹介しています.

伝統的な聖典解釈学の部分ではなく,最新流行の認識論の部分について,特に,註作者の見解に依拠しています.

シャバラ註のこの部分の批判的校訂本を発表したのはフラウワルナーです.(また,この部分の内容分析を行ったのは,フラウワルナーの弟子のツァンゲンベルクです.)

今回の断片シンポジウムでも,藤井さんがこの註作者断片に関する興味深い分析結果を発表していました.


3.
最後に,仏教徒のシャーンタラクシタの『真理綱要』に引用されるクマーリラの『ブリハット・ティーカー』.

フラウワルナー以前のインド人の研究がありますが,この分野でも,ラトナキールティによる引用なども含めて検討し,決定的な業績をものしたのはフラウワルナーです.

『ブリハットティーカー』断片は,特に,『真理綱要』の最後の二章に大量に引用されています.

真理論と全知者論についての個所です.

仏教とミーマーンサーの激しい論争点となった個所です.

仏教批判に必死になっていくクマーリラの様子がうかがえます.

批判が学問の発展に重要であることを教えてくれます.

このブリハットティーカー断片も,あちこちにあり,ばらばらと研究があるので,体系的な回収が必要です.

シンポジウムのコーヒー休憩でも,何度か「是非,あなたでもあなたの学生でもだれでもいいから,集めるか,集めさせなさい」と言われました.

体系的,網羅的な研究,という意味では,やはり,シュタインケルナー教授は大きな視点を有しています.

日本人研究者は,えてして,体系的な研究は苦手なものです.

日本におけるミーマーンサー研究者といえば,伊原,針貝,金沢,倉田,大前,吉水,片岡,藤井,志田,石村などの名前がすぐに思い浮かびます.

しかし,まだまだ,次代の研究者がやるべきことはいくらでもあります.



ミーマーンサーの研究史について,詳しくは,『ミーマーンサー研究序説』を参照.
スポンサーサイト
  1. 2012/08/27(月) 07:43:21|
  2. 未分類

プロフィール

Aghora

Author:Aghora

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する