Pratibhanusarini --- 九州インド哲学ブログ2

On Indian Philosophy and Buddhist Studies

松本合宿

Darshana3204984356


2011-2014 年度科研基盤研究(A)

「インド哲学諸派における<存在>をめぐる議論の解明」(ダルシャナ科研)

2014 年度合同研究会

⽇程 9 月 13 日(土曜日)・14 日(日曜日)・15 日(月曜日・祝)

場所:松本美ヶ原温泉 ホテルニューことぶき 会議室





13日
岩崎陽一 「所有と相続の形而上学」
渡邉眞儀 「属性(guṇa)カテゴリーの検討―Bhāsarvajñaによる伝統説批判の一例として」
日比真由美 「時間・方角は独立の実体か」
志田泰盛 「スチャリタミシュラの闇論」
藤井隆道 「シャーリカナータによるsattā批判」


14日
眞鍋智裕 「アドヴァイタ学派における現象世界の成立根拠と不成立根拠」
石村 克 「実在・存在・非存在―クマーリラの非存在の実在論証を中心に―」
護山真也 「プラジュニャーカラグプタの〈知覚=存在〉説」
志賀浄邦 「仏教における存在と時間:三世実有論をめぐる諸問題を再考する」
近藤隼人 「因中有果説の極北」
金菱哲宏 「Yogabhāṣyaに見られる存在論―三世実有説と因中有果説をめぐって―」


15日
斎藤 茜 「パシュヤンティー理論とスポータ理論の作用領域」
川村悠人 「Aṣṭādhyāyī 5.2.94におけるasyaとasminの言明目的―matUP導入をめぐる第六格接辞と第七格接辞の意味論」
畝部俊也 「言葉の使用の根拠としての「存在」―文法家にとっての「世界認識の枠組み」としてのbhāva―」
張本研吾 「インドにおける神の存在論的証明」




福岡から松本まで、FDAの飛行機。

バスとタクシーを乗り継いで、ようやく会場にたどり着けました。

到着すると丁度はじまったところで、代表の先生が挨拶中。

その後は、発表の連続。

休憩時間を挟みながらとはいえ、重いテーマの連続に、頭を休める暇もありません。

翌日は、朝から晩まで。

しかも、班代表なので、昼間も弁当を食べながらの会議。

信州まで来て蕎麦を食べる暇もないという、とほほな状況でした。




それはさておき、研究成果報告は、意識の高い発表が相次ぎ、一日目を終わった時点で相当の衝撃を受けました。

まず、ナヴィヤ組。

専門家の名大の先生のところで鍛えられていることもあり、ラグナータ・シローマニによる範疇論の組み替えについて貴重な報告が連続。

東大出身者が名古屋で面倒を見てもらって読書会というのも、以前では考えられないことです。

研究会を通じた大学間の交流が何を生み出すのか、大きい科研が生み出した成果は、やはり大きい。

この新ニヤーヤの研究発表だけからでも、すでに、この科研の成果のすごさがうかがいしれます。

岩崎氏の発表は、とくに、まったく新たな視点からのもの。

所有物性という存在範疇を新たに立てるその背景についてのもの。

Krollの研究もそこではじめて知りました。

遅々としているかに見えるインド哲学研究にも、やはり時代による進化があるということを、まざまざと見せつけられました。

一日目は、事務局の都合ということもあったのでしょうが、東大組が連続して発表。

すべて、一時代まえからは考えられないようなレヴェルの高さです。

たんに資料や読解、というだけでなく、扱い方そのもの、論じ方からして、各段に水準があがっています。

これからインド哲学をやる人は、このスタンダードを最低限としてやっていかねばならないので、本当に大変です。

とにかく、恐るべきレヴェルの高さです。

日頃は辛口の桂先生も、「いやー、ほんとうに凄い」という感想でした。

あれこれと事務作業の面倒な科研ですが、若い人が恐るべきスピードで真似て学んで成長するのを見ると、パソコンの前の面倒な事務入力作業というのも、やる価値があったということでしょう。

ニヤーヤ・ヴァイシェーシカ三人組に続いては、志田白眉助教。

これまた凄い発表で圧倒的でした。

まず資料が凄い。

南インドの写本から新たに起こして校訂した世界初の校訂本が資料。

もうそれだけでもすごいですが、さらに、その校訂本の美しさは驚くばかりです。

同じ校訂をやるものとして、この作業にどれだけの日数・月数がかかるか分かるだけに感嘆せざるを得ませんでした。

今回は、その膨大な研究蓄積の中の一部を取り出していましたが、それだけでも、相当な仕事量です。

そして、それだけでなく、和訳資料も同時に提供。

そして、以上はあくまでも基礎資料。

研究発表としては、スチャリタミシュラの議論背景について、あれこれの資料を探りながら、その歴史的位置づけを確定しようというものでした。

すべて新しい情報ばかりという驚くべき研究発表でした。

批判的なコメントらしいコメントができた人がいなかったのも、ある意味、当然です。

全てを超えていました。

それで終わりかと思いきや、つぎに、トリとして、真打ちの大将がまだ控えていたのには、さらに参りました。

藤井氏は、タイトルはシャーリカナータですが、実質的な中身はマンダナミシュラ。

しかも、ブラフマシッディ。

しかも、その内容は、ブラフマシッディ通読というべき、全体像に迫るものでした。

タイトルからは想像できませんが、マンダナミシュラの神学全体について議論するという大がかりな研究発表でした。

難解で知られるマンダナミシュラ。

その著作を通読するのは容易ではありません。

その全体像に迫る発表というのですから、参加者一同、びっくり仰天も当然でした。

久々に、藤井氏のすごさを見せつけられた研究発表でした。

本人曰く「(マンダナを)流し読み」だそうです。

二日目もこの調子で、どれもこれも、高いサンスクリット読解力に支えられた緻密な研究ばかりでした。(いちいちのコメントは省略)

ここまで研究の水準があがるものでしょうか。

相互の情報交換や伝播に時間を要さなくなったここ最近の(若手の)成長スピードはすごいと思いました。

大学の垣根を越えた科研A、その成果は単にペーパーに終わるものではないでしょう。

そこに人材の成長がなければ本物とはいえません。

その意味で、科研の成果は、確実に、参加者の能力saktiや種子bijaという(目に見えない)形で残っていることを確認できた研究会でした。
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  1. 2014/09/17(水) 18:36:09|
  2. 未分類

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