Pratibhanusarini --- 九州インド哲学ブログ2

On Indian Philosophy and Buddhist Studies

密教のせいで

新聞の解説に

「インドの仏教は衰退した←ヒンドゥー教化=密教化したから」

というよくある見解が繰り返されていた。

ヒンドゥー教に飲み込まれて雲散霧消という図式である。

なぜか、密教要素は、はなから衰退・堕落の悪玉菌と決めつけられている。

しかし、ムスリムによる僧院破壊はどこに行ったのか?

「イスラム教に滅ぼされた」のほうがよほどすっきりする。

また、ネパールの仏教はヒンドゥー教と混淆しまくりだが繁栄している。

密教化=堕落という見方自体に、性的要素を排除しようとする浄化の視点・動機が隠れていやしないか。

うさんくさい。

平川彰の『仏教通史』58頁:

このような傾向が強まるところに密教の堕落があった。一二〇三年にヴィクラマシラー寺やオーダンタプリ寺がイスラム教徒によって破却されて、仏教はインドに滅びたのである。しかしその後も、形を変えた仏教がベンガル州を中心として、後世までも残っている。



さすが、ちゃんとしている。

密教によって仏教が堕落したとはどこにも書いていない。

書いてあるのは、性的な要素が拡大することで密教が堕落したということである。

また、仏教滅亡の直接原因はイスラム教徒による僧院破壊であって、インド教との習合ではない。

しかし、この文章を斜め読みして単語だけつなぎ合わせることで、

「密教によって仏教がヒンドゥー教化して堕落して滅亡した」

という俗説が成立したのかもしれない。

ともかくもタントラや密教に対する無知・誤解、さらには「食わず嫌い」は多いようである。

これには、学者の出身宗派も関係しているというのは、あながち邪推でもあるまい。
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  1. 2015/03/10(火) 23:18:19|
  2. 未分類

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