Pratibhanusarini --- 九州インド哲学ブログ2

On Indian Philosophy and Buddhist Studies

savitṛvicāraḥ

京都大学の研究者トーク.

「古代インドからのメッセージ」

斉藤さんの放送分.

オックスフォード留学(2014年の1-3月)のジョン万プログラム生,その一種の報告義務ということで,選ばれたようです.

DJさんが「学生さん」といった言い方をしているのがのっけから気になりますが,それはさておき,斉藤さん,なかなか良いことを仰っています.

「研究者としての覚悟」という言葉が出てきます.

やはり,素晴らしい研究者との出会いというのは重要です.

斉藤さんもお世話になったオックスフォードのサンダーソン教授,本当に刺激的な研究者であり先生です.

残念ながら今年の9月で定年退職.

わたし自身もJunior Research Fellowとしてウルフソンカレッジに所属していたとき,一年間,授業に出させてもらいました.

若い学生をやる気にさせて育てるという意味で,サンダーソン教授は最も成功した研究者の一人でしょう.

多くの研究者を育て,その多くが現在,あちこちのポストで活躍しています.

私がオックスフォードにいたころは,ちょうど,教授の指導学生が博士論文を出し始めたころです.

それでさらに優秀な学生が一層集まるという正のスパイラルが回り始めた頃にあたります.

ドミニク,ソームデーヴ,エリザベス,アレックス,ジェームズ,チャバ,そして,日本からは種村さん.

もちろん,教授の求める水準は高いので,それに答える必要のある博士学生は大変です.

あんまり評価が悪いと落とされて,次の学年に進むことができません.

途中で放り出されて泣いている学生も見たことがあります.

また先生は,博士入学に関しても非常に厳しく審査していました.

この学部生は通すだろうと思っていたら,案に相違して,蹴られているのを見たこともあります.

成績評価に関しては非常に厳格でした.

博士学生は一学期に一回ほどの割合で発表をしなければなりません.

その準備となると,皆,大変そうでした.




良い先生,素晴らしい研究者との出会い,というのは,やはり,進路を決めるに当たっては重要なことです.

幸い,私も,多くの素敵な先生に習うことができました.

中でも,非常勤で外からいらしてくださった先生からは,多くのことを学び,また,刺激を受けました.

例えば,ヒンディー語の田中先生,藤井先生(東京外大).本郷で中級がなかったときは,藤井先生にお願いして,外大の講読演習に出させてもらいました.

サンスクリット講読では,ヴェーダーンタの正信先生(当時は東海大所属)です.

正信先生は,「いやいや,シャンカラさん,それちがうんちゃうか」といった具合に,テクスト内の論争を自分に憑依させながらテクストを読み込むのが常でした.授業後の学士会館で飲んだ生ビール,先生は最初の一杯の頭2cmくらいで3時間,あつくシャンカラについて語っていました.本当はバースカラが好きなんだということも分かりました.

本郷から駒場まで出かけて取った授業に,イスラームの五十嵐先生の刺激的な授業もありました.残念ながら学期途中で先生は殺害されてしまいました.当日,いつまで経っても先生が来られないので自然休講になったのを覚えています.ちょうど,『中東半端が日本を滅ぼす』というタイトルの,一種の暴露本を出版されたばかりの頃でした.

昨今の財政規律により,非常勤枠が減っているのは非常に残念なことです.

出会いから何かが生まれるというのは,起業と同じく,研究にも当てはまることです.

人と人とを結びつける機会が減る,それが非常勤削減の意味するところです.

相手のモチベーションを高めるというのは,表面的なレベルでは不可能です.(それをやると自己啓発セミナーになります.)

結局の所,自分の全人格が関わってくる,ということにならざるをえません.

良い研究者が必ずしも良い先生とは限らないでしょうが,良い研究者であって初めて刺激を与えることが可能となるでしょう.

生み出すのは学生自身であって,教師はそれを鼓舞するのが役割のはずです.

スキルは後から付いてくるものです.

プレゼンのスキルや共同作業のスキルも重要でしょうが,それを懇切丁寧に週に何コマも使って教えるのは,小手先・表面的であり,また,誤ったメッセージ(「ネット情報と小手先のスキルで何とかなる」)を学生に伝えることになるでしょう.アクティブラーナーならぬコテサキラーナー(英語能力・プレゼン能力・社会協調性は高いが国語力・創造性・こだわりの低い学生)を生み出すのではないかと危惧します.

各先生が自分の好きなものを教えて良いという原則は,人間を育てるという難事に関する人間の知恵の一つだと思います.

自分の好きなものに真摯に取り組む姿勢,その熱伝導こそが相手に「覚悟」を生み出すのでしょう.
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  1. 2015/12/05(土) 08:56:28|
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