Pratibhanusarini --- 九州インド哲学ブログ2

On Indian Philosophy and Buddhist Studies

ヴァーチャスパティ・ミシュラ:「地球は丸い」

ヴァーチャスパティ・ミシュラは,ジュニャーナシュリー・ミトラと同時代ですから,紀元後10世紀頃に活躍したと考えられます.

さて,彼の初期作品が『論理の小粒』(ニヤーヤ・カニカー).

インド哲学文献の中でも最も難解な作品の一つとして知られるマンダナ・ミシュラの『命令の分析』(ヴィディ・ヴィヴェーカ)に対する註釈です.

マンダナは次のように述べています.

地からできている球は,別の地製物に比して,より多くの虚空の空間を占めているが,[虚空の空間]すべてを[占めている]のではないのと同じである.



ここで言う「地からできている球」が具体的に何を指しているかは必ずしも明らかではありません.

たんに粘土で作ったボールのことかもしれません.

いずれにしろ,ある球状物体Aは,同じく地製の別のものに比べて,とてつもなくでかくても,あるいは最大限でかくても,全ての空間を満たしているわけではありません.

つまり,最大と無限大とは違う,というのがポイントです.

この原文に対して,ヴァーチャスパティミシュラは次のようにコメントしています.

地からできている球[すなわち]一切個我世間の場は,巨岩・巨石などという別の地製物に比して,より多くの虚空を占めるが,全てを占めるわけではない.



sakalajīvalokādhiṣṭhānaは,直訳すると,「一切の個我世間の場」ということですから,普通に考えると,大地,つまり,地球ということになります.

マンダナは,「地製の球」と述べていて,ヴァーチャスパティがそれを,我々の大地と同定しているので,ヴァーチャスパティは,地球が球状である,と考えていたことになります.

地球が巨岩よりでっかい,つまり,この世に有るものの中で最大限に大きいからといって,一切空間を満たすわけではない,つまり,無限大ではない,と言っていることになります.

以上から,紀元後10世紀のヴァーチャスパティの世界観では「大地は球状である」ということになります.

まさしく「地球」という概念があったことになります.
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  1. 2016/12/13(火) 18:22:54|
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