Pratibhanusarini --- 九州インド哲学ブログ2

On Indian Philosophy and Buddhist Studies

形象真実論と形象虚偽論

DSC02592.jpg

1.無形象説
  ニヤーヤ,ヴァイシェーシカ,ミーマーンサー
  有部
2.有形象説
  2.1.形象虚偽論(無相,無形象説)
  2.2.形象真実論(有相,有形象説)

鏡像や水面に映った反射像のような行相(アーカーラ)を考えている有部をどうするかは議論が分かれるところでしょうし,実際,有部の中も色々なのでしょうが,ひとまず,後代の理解にしたがって,いわゆる無形象説(1)のほうに分類しておきます.行相は智(プラジュニャー)の中にあるというよりは,「行相は智である」というように,智そのものに還元されるので,「認識内に行相がある」あるいは「認識が行相を持つ」という言い方はしっくりこないように思います.

無形象ニラーカーラ,有形象サーカーラという言い方は,二箇所に出てくるので,最初はとまどってしまいますが,文脈で,すぐに分かります.インド人著者の中で混乱はありません.

ややこしいので,虚偽アリーカ,真実サティヤという対立図式を用いるほうが無用な混乱がありません.

形象虚偽論において,形象は虚偽なので,形象は非有(無)アサット,したがって無形象ということになるので,「無形象」という名は,ちゃんと実を表しています.

解脱時には,形象が完全にないわけで,プラカーシャしか残りませんから,無形象の正体がはっきりと分かります.

解脱するまでは虚偽の形象が現れているので,「現れているけど非有(無)」ということになるので,虚偽とするわけです.(もちろん,有形象論者からすれば,「現れているけど無」というのはナンセンスです.)

牛性みたいに,実体としては無いけれども,現れだけはあるわけです.(夢に登場する影像も,現れているけど無です.)

それは青等の知覚対象についても同様だというのが,形象虚偽論者の主張です.

虚偽の形象が現れていて,その虚偽の形象は,解脱時には完全に雲散霧消してしまいます.

これに対して,解脱時でもきれいな形象(プラカーシャと同体)が残ると考えるのが有形象説です.

認識と同体ですから,当然,形象も残るわけです.この意味で形象は真実です.

形象=プラカーシャ

このプラカーシャと同体である形象の上に外界対象を付託するから誤りが起こるだけです.

アーローパ(でっちあげ)は混乱しますが,形象虚偽論と形象真実論では意味が違うので注意が必要です.(というのが,再三の私の主張です.)

形象虚偽論に於いては,つまるところ,概念構想・分別・遍計などのヴィカルパ,パリカルパと同義で,要するに,虚構することです.つまり,単純に「でっちあげること」「虚構すること」です.

これに対して,ジュニャーナシュリー自身が自説で理解するアーローパは,いわゆるアディアーローパ(~の上に載せる)で付託の意味です.スーパーインポジションです.つまり,Xの上に非Xを載せる,という二階建てで理解される錯誤(ブラーンティ,ブラマ,ヴィブラマ)です.

外界対象

形象=プラカーシャ

プラカーシャと同体である形象(現れている形象)の上に外界対象を「載せること」が形象真実論におけるアーローパ(付託)です.

また,ジュニャーナシュリーが第二章の最後の方でも注意を促していますが,両説では,プラカーシャの語義解釈が異なります.

真実論ではプラカーシャは現れ出す主体です.つまり,形象に他なりません.“prakāśate” iti prakāśa ākāra eva.

虚偽論ではプラカーシャは現れ出すという行為です.prakāśanaṃ parakāśa iti.

つまり,形象が現れ出すという行為(あるいは事象)です.

要するに,「現れ」といっても,現れているものなのか,あるいは,現れることなのか,という違いです.

形象真実論では,現れているものがそのままプラカーシャであり,それが最後まで残るのは当然です.

いっぽう形象虚偽論では,プラカーシャという輝きだけが残り,形象はなくなります.そこに現れているものは無いわけです.現れるものなくして現れることだけがある,という状態です.

以上,この二説の対立だけを論じてきましたが,マンダナミシュラが整理したように,より広く錯誤論という文脈で形象論は捉え直す必要があります.

つまり,形象論は,広義の錯誤論に包括されます.

我々の全ての計らいが誤りである以上,錯誤論の守備範囲は,単に「蛇縄」「貝銀」といった狭義の錯誤に終わるわけではないのです.

ちなみに,張本さん,ホースを蛇と間違えるのではなく,蛇をホースと間違えたそうです.
スポンサーサイト
  1. 2017/03/28(火) 07:48:35|
  2. 未分類

プロフィール

Aghora

Author:Aghora

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する