Pratibhanusarini --- 九州インド哲学ブログ2

On Indian Philosophy and Buddhist Studies

伝バーサ作『カルナの重荷』解説(1)

1. 解説
ここに和訳するBhāsaに帰せられる戯曲Karṇabhāra(カルナの重荷)は,T. Gaṇapati Śāstrīが1909–10年にマラヤーラム文字の写本を発見,1912–15年に連続して出版された十三戯曲のうちの一つである . (Bhāsa劇については辻直四郎『サンスクリット文学史』(岩波書店277)22頁以下参照.)

1. Svapnavāsavadatta
2. Pratijñāyaugandharāyaṇa
3. Avimāraka
4. Cārudatta
5. Pratimā
6. Abhiṣekanāṭaka
7. Pañcarātra
8. Madhyamavyāyoga
9. Dūtavākya
10. Dūtaghaṭotkaca
11. Karṇabhāra
12. Ūrubhaṅga
13. Bālacarita

このうち7–12は大叙事詩Mahāhārataに取材したもの.Svapnavāsavadattaで有名なBhāsaの年代については俄かに決定はできないが,Kālidāsa (後400年頃) が有名な詩人としてBhāsaの名を挙げるので,それ以前であるのは確かである.Aśvaghoṣa (後100年頃) とKālidāsaの間に置くとすると,後300–350頃に,ひとまず措定できる(辻『サンスクリット文学史』24頁参照).また,これらの戯曲群は,Bhāsaの原作が,ケーララの寺院付きの劇団により上演された際に用いられたものであり,原作の面影を伝えながらも,適宜改変を経ていると考えられる.

タイトルのKarṇa-bhāramは『Karṇaの重荷を[主題として]持つ[劇]』という意味である.ここでいう「重荷」とは,Karṇaが生まれながらに身に着けている耳環と鎧を直接には指す.Indra扮するバラモンに布施せざるを得なくなり,戦いを前にしてKarṇaは,それらを身から離すことになる.同時に「心の重荷」も指す.「Yudhiṣṭhira以下はお前の弟なのです」という母Kuntīの言葉から,Karṇaは,弟達を殺してはならないという重責を負うことになる.Kuru族側の大将としての責任と,しかし,その重責を果たすことができない逆の重荷.「お前の武器はいざという時に役立たずとなれ」という武芸の師範であるParaśurāmaによる呪いは,戦いに出立するKarṇaの心に重くのしかかっている.
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  1. 2017/08/12(土) 09:25:09|
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