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Pratibhanusarini --- 九州インド哲学ブログ2

On Indian Philosophy and Buddhist Studies

小川さやか著『チョンキンマンションのボスは知っている』



タンザニアをフィールドとする文化人類学者の小川さんが九大の集中に来られたのが2016年2月1~4日.

同僚の飯嶋さんから「おもしろいよ」と誘われて全日出席.

この週はちょうど授業が終わって,学生は試験でいそがしいころ.

先生は授業がおわってホッとする時です.

たまには新しい分野の耳学問でもするかと思い,単位に余裕のある上の学生中心の授業に混ぜてもらいました.

本人もおもしろいが,著書もおもしろい.

なにより筆力がすごい.

前著ではタンザニアのしぶい狡智について,興味深いエピソードとともに,あれこれとまなばせてもらいました.

授業ではマンガもびっくりの擬態語・擬音語のオンパレード.

ぎゃーとかひーとか,のけぞったり,場面を再現したりと臨場感がすごい.

まったく退屈しません.

しかし文章となると一転,擬態語も擬音語もなし.

冷静に,観察者の視線で書かれています.

さすが京大出身.

裏付けが凄い.

さらっと裏取りに手間のかかる事実が書かれています.

そして文化人類学者のさらなる分析.

一般の人にも読み易い文章.

相当練っているのか,あるいは,ささっとこんな読み易い文章が書けるのか.

前著はタンザニアでしたが,今回は,香港のタンザニア人.

研究者も就職すると,時間のかかるフィールドに行くのが大変です.

今回のはサバティカル(研究休暇)の半年を利用した研究成果とのこと.

ネパールの文化人類をやっている人も,就職すると村の奥までいく時間がなく,しかたなくカトマンドゥ市内だったり,あるいは,アクセス可能な範囲で,調査範囲を変えたりするのはよくあること.

小川さんも,裏の事情はそういうことなのでしょうか.

ともあれ,日本からは近い香港がフィールド.

かの有名なチョンキンマンション.

こんなところがフィールドとして昨今は人気なんですね.

グローバルな世界となると,なにがどこでつながっているのか,ほんと,よくよく見ないと分からないものです.

福岡にたくさんパーキスターン人の車屋さんがいますが,かれらも,こことこんな風につながっていたんですね.

勉強になります.

彼女はスワヒリ語.

今回も,インフォーマントがすごい.

どこをどうしたらこんなにいい人と出会えるのでしょう.

もってるとしかいいようがありません.

同じ世界を見ているはずが,一般人には見えないもの,というのがたくさんあります.

見る人が見れば,まったく異なるネットワークがはりめぐらされたこの世界.

福岡の外国人社会も,いろいろあるんでしょうね.

わたしにはそれを参与観察する余裕も力量もありませんけど.

前著と同じく,本著も,しぶい智慧と深い分析がそこかしこに.

いろいろと深く共感するところがありました.
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  1. 2019/08/09(金) 19:06:54|
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